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いろいろなハラスメント【リモハラ】

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新型コロナウィルスへの対応で在宅勤務が広がるなか、テレワーク特有のハラスメントのリスクが浮上しています。「リモートハラスメント(リモハラ)」「テレワークハラスメント(テレハラ)」などというものです。文字だけのやり取りの増加や、部下の働いている姿が見えない状況が引き起こすパワーハラスメント(パワハラ)や、在宅で私的な部分が垣間見えてしまうことが引き金になるセクハラなどのケースで、どちらもひとまとめにしてリモハラと言われます。これから先テレワークがなくなるということがないでしょうから、個人の意識づけや企業の対策が必要になりそうです。

 

 「通勤の負担がなくなってありがたいのだが、上司とのやりとりでストレスも感じる」。

あるメーカーに勤める都内の30代女性会社員は、テレワークで上司との主なやりとりが口頭からオンラインに代わり、メールやメッセージで憂鬱になることが増えたといいます。「資料提出は今日の17時までに。オンライン会議は14時から時間厳守で。在宅勤務では明確な成果が求められます」と、業務指示の要点のみを連ねたメールが毎朝送られ、指示は明確だが、自分から言わない限りこちらの状況は省みられず、ねぎらいもない。

業務の指示などを受ける際、普段なら顔を見て話しながら進められるが「メールだと、一方的に指示されている感覚に陥る。特に、言いにくいことを伝えるときに態度で示すなどの余地がなくなった」とのこと。

 

在宅勤務は政府が提唱する「新しい生活様式」のなか提唱されたいたものですが、遅々として進まなかったところが、新型コロナウィルス対策で一気に進んだ感があります。しかし緊急対応として広がっただけに上司、部下双方で特有のストレスもたまりやすく、ハラスメントにつながりかねません。

 

専門家の多くが指摘するのが、メールやチャットといった文字のやりとりが多くなることによるコミュニケーション不全が引き起こすパワハラです。もともと、文字のみのやりとりは先鋭化しやすい傾向があると言われていましたが、リモート環境では不可欠なツールで、LINEや友人同士のやりとりでよく使う顔文字やスタンプは行間を補う効果がとても大きいのですが、仕事のメールでは顔文字やスタンプは一般的ではないため、言い切りや端的な表現になりやすく、よりいっそう冷たく聞こえたり、命令調が強く感じられたりします。

対面であれば相手がどう受け止めたか、表情や態度でも読み取れるのでその場でとりなしたりできるのですが、リモートだと修正しづらくなります。対応策として、ビデオ通話などを活用して11で話す『ワンオンワン』などの機会を増やすのが有効ではないでしょうか。

 

 在宅の部下を過剰に監視する状況にならないかも気をつけたいところです。上司からすると平時なら近くにいた部下の姿が見えず、「サボっているのではないか」と疑いたくなる場合もあります。ただ頻繁すぎる連絡や、常時のモニタリングなどを求めるのは行き過ぎになりかねません。技術的にはカメラやモニタリング機能などで常時監視することは不可能ではありませんが、常に監視されているという風に思わせてしまうのは、健全な職場環境という観点からすれば心理的なマイナス面のほうが多いのではないでしょうか。

 

また、プライバシーへの配慮も必要で、個々の従業員の家の環境は異なるので、適切な指示のためには個人の状況を把握する必要もあります。その際は個人や家庭の状況を必要以上に知ろうとするのではなく、仕事のうえで何ができて何が難しいのか観点で確認するといいでしょう。

 

比較的線引きが難しいパワハラと異なり、セクハラやマタニティーハラスメントは判断がつきやすい類型とされていますが、ここにも特有のリスクがあります。近年は必要以上に他者のプライベートに深入りしないようにする意識も浸透してきていますが、皆が自宅にいることで、プライベートと仕事の垣根が崩れやすい状況があります。

 

オンライン会議で背景に自宅が映りこんだり、私服の部下を見たりして、つい自宅や家族について言及してしまう、といったケースもありそうです。「せっかくだから家族を紹介して」などという要望は不快に感じる人も多く、プライベートにみだりに触れられたくないという人は増えているのですから、上司はもちろん、同僚同士でも注意したいところです。

 

実際にハラスメントのトラブルになった場合はどうでしょうか。特にパワハラは弁護士に持ち込まれる案件でも、「この程度でパワハラとなりますか」といった、事態を過小評価しがちな企業が依然として多いそうです。ですが文字のやりとりは明確な証拠が残るほか、リモート環境であれば被害者側が録音などもしやすく、被害の立証がしやすい分野といえ、内部告発で社会から非難されるリスクも大きくなります。

 

また重大なセクハラはお酒が引き金になることが非常に多いというなか、オンライン飲み会も十分に気をつけたいところです。通常の飲み会ができないからといって、部署の飲み会、取引先も含めた飲み会、などに発展するのはどうでしょうか。オンライン飲み会では小グループに分かれた会話もできず、目上の人がいたら配慮せざるを得ません。近年は「飲みニケーション」が下火であったことを踏まえれば、むやみな誘いは避けたほうが賢明かもしれません。

 

 

ハラスメントは社員の士気や生産性にもかかわる。コロナ禍にかかわらず、根本的に「働きやすい職場をつくる」ためにハラスメントをなくすべきだという原則は変わらないはずです。