副業が一部認められて複数の事業所に所属する人が増えたように思いますので、社会保険の二以上事業所勤務について、経験したことを書いておきたいと思いました。
1.一番最近の例
新しく法人を設立した会社で、役員2名が社会保険に加入でしたが、役員の1人が現在ほかの会社に週4日で勤務しておりそちらで社会保険に加入していました。2以上事業所勤務に該当するので選択届を提出しました。
ここまでは通常の手続きたったのですが、現在加入中の会社が名古屋と別の管轄事業所だったため、最初に年金事務所で口座の書類が両方の年金事務所に出すためもう一部必要と言われました。そして、口座の用紙をもう一部用意し、提出。
その後に、今度は事務センターから連絡があり、この事業所が別送といって、決定通知書などを私の事務所へ送ることを希望していたため、この別送依頼書が両方の年金事務所用に必要なので、もう一部出してほしいと言われました。
現在はハンコレスということなのですが、こういった特殊なものについてはハンコが必要になり、再度クライアントさんに来ていただくことになりました。
この他に先の事業所が健康保険組合のため、そちらの方がどうなるかは、これから様子見というところです。
その後勤務先が変わったため、改めて別送の届を出さなければいけなかったのを失念し、再度出すことになりました。
2.1年ほど前の例
おととし新規適用届を提出した会社で、やはり社会保険加入は役員2名。社長と息子さんなのですが、息子さんは現在ペットクリニックに週3日勤務しているとのことでした。
それが半年後くらいたってから、週3の勤務からフル勤務に変わったので社会保険に入るのだが、今までの会社の方の社会保険はどうなりますかとの問い合わせ。2以上事業所勤務の説明をし、ペットクリニックの方で手続きをしてもらうことにしました。
しかし、その後相手方会社の担当社労士さんから、「当方がフルタイムなのでそれを超えてさらに勤務することが不可能だから、現在の会社の収入をないことにして社保の資格を喪失にしたら?」との話があったとか。
ん?
やっと選択届の話まで進んで一見落着かと思ったら、選択届は両方の会社から出す必要があるのでそちらの会社でも出してくださいと言われたと社長からお話しがありました。
ん?
不要だからわかりました、と答えてそのままにしておきましょうということで決着しました。
2以上事業所勤務の話はかなり皆さん混乱しているようですね。
3.1年ほど前のもう一つの例
これは事務所の近くの会社さんからの問い合わせが始まりでした。
その問い合わせというのが「去年の年金事務所の調査で社長が2つの事業所から給料をもらっているが一方しか加入していないので、両方に加入する手続きをとるように言われたのですが、その手続きをやってもらえますか?」ということでした。
2つ目の会社を設立するとき、それまでの会社の資格を喪失して、新しい会社で資格取得届を出してしまったのが原因でした。
雇用保険は2つの事業所には加入できませんが、社会保険は2以上事業所勤務というのがあり、2つに入れるのですが、その辺を知らずにいる人が多いようです。
ヤフー知恵袋にも、以前「厚生年金保険、健康保険は2か所に入ることはできません」って言いきって書いている人を見かけたことがあります。
調査指摘のときは2年さかのぼるということになることが多いようですが、前の社労士さんが調査対応し、2年さかのぼりについては勘弁してもらって次回で直してくださいと言われたということで決着したそうです。
2以上事業所勤務について知らなかったわけですが、調査時の交渉力はすごいと感心しました。
副業・兼業が認められると2以上事業所勤務という複雑な案件もこれから先でるかもしれません。特殊ケースは対応がいろいろになるので、しっかり勉強して会社さん、社員さんに迷惑がかからないように気を付けようと思いました。