新型コロナが5類感染症に位置づけられた後の労災保険の取扱い
新型コロナウイルス感染症(以下、「新型コロナ」という)は、5月8日から感染症法上の5類感染症に位置づけられる予定になっています。今回、5類感染症に位置づけられた後に、業務に起因して新型コロナウイルスに感染したものであると認められる場合の業務上災害の取扱いについて厚生労働省がQ&Aを更新しました。
更新されたQ&Aは以下であり、5類感染症に位置づけられた後も、業務上災害、そして、労災保険の給付対象になることは変わりあれませんが、労災保険率に影響するメリット率には反映されることになります。
Q: 労働者が新型コロナウイルスに感染した場合、労災保険給付の対象となりますか。
A :業務に起因して感染したものであると認められる場合には、労災保険給付の対象となります。
また、新型コロナウイルス感染症による症状が持続し(罹患後症状(※)があり)、療養や休業が必要と認められる場合にも、労災保険給付の対象となります。
なお、新型コロナウイルス感染症の感染症法上の位置づけが5類感染症に変更された後においても、この取扱いに変更はありません。
※ 罹患後症状については、下記サイトをご覧ください。
https://www.mhlw.go.jp/content/001001545.pdf
請求の手続等については、事業場を管轄する労働基準監督署にご相談ください。
Q: 医師、看護師などの医療従事者や介護従事者が、新型コロナウイルスに感染した場合の取扱いはどのようになりますか。
A:患者の診療若しくは看護の業務又は介護の業務等に従事する医師、看護師、介護従事者等が新型コロナウイルスに感染した場合には、業務外で感染したことが明らかである場合を除き、原則として労災保険給付の対象となります。
なお、新型コロナウイルス感染症の感染症法上の位置づけが5類感染症に変更された後においても、この取扱いに変更はありません。
Q: 医療従事者や介護従事者以外の労働者が、新型コロナウイルスに感染した場合の取扱いはどのようになりますか。
A:新型コロナウイルス感染症についても、他の疾病と同様、個別の事案ごとに業務の実情を調査の上、業務との関連性(業務起因性)が認められる場合には、労災保険給付の対象となります。
感染経路が判明し、感染が業務によるものである場合については、労災保険給付の対象となります。
感染経路が判明しない場合であっても、労働基準監督署において、個別の事案ごとに調査し、労災保険給付の対象となるか否かを判断することとなります。
なお、新型コロナウイルス感染症の感染症法上の位置づけが5類感染症に変更された後においても、この取扱いに変更はありません。
Q: 新型コロナウイルス感染症に関する労災保険給付があった場合、労災保険料に影響があるのでしょうか。
A:労災保険制度においては、個々の事業ごとに、労災保険給付の多寡により、給付があった年度の翌々年度以降の労災保険料等を増減させるメリット制を設けています。
他方、法に基づき入院措置や外出自粛などが行われる感染症法上の「新型コロナウイルス感染症」に関連する給付は、全ての業種においてメリット制の対象外とし、労災保険料に影響を与えない特例を設けています。
このため、新型コロナウイルス感染症の位置づけが5類感染症に変更されるまでに労働者が発病した場合の労災保険給付については、メリット制による労災保険料への影響はありませんが、5類感染症に変更された後に労働者が発病した場合の労災保険給付については、メリット制による労災保険料への影響がありえます。